次の100年へと受け継がれる「御用聞き精神」

昭和4年(1929年)に香川県高松市西浜町(現扇町・瀬戸内町)にて産声をあげたクリーニング店「白洋舎」は、創業より90余年の歳月をたくさんの人々とともに歩んでまいりました。
2度の大戦を経て、高度経済成長、バブル崩壊と移りゆく時代の中で、幾度とない困難に見舞われながらも今日を迎えることができたのは、ひとえに地域のお客さま、共に働く従業員、そして3代に渡って当社を支えてくださった皆さまのおかげです。
祖父・鵜川次太郎が当社を創業した当時は、今のように豊かで便利な時代ではありませんでした。まだクリーニング店が「洗濯代行屋」であった時代に、祖父は毎日、洗濯物を抱えて自転車に乗り、近所の家庭や店を一件一件訪問し、「御用聞き」として地域をつなぐ役割を果たしてまいりました。
この「御用聞き精神」こそ、当社が地域密着型クリーニング店として皆さまから長年のご愛顧を賜ることができた理由であると自負し、改めまして、心より感謝申し上げます。
まもなく創業100周年を迎えようとしている今日においても、祖父から脈々と受け継がれている「御用聞き精神」を胸に、決しておごる事なく誠実に、豊かな地域社会の創造に尽力する気持ちに変わりはありません。
今後とも、よりいっそうのご厚誼とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

昭和時代

「白洋舎」の原点は、第一次世界大戦近くにまでさかのぼります。
大日本帝国海軍の巡洋艦・長良にて洗濯夫として、乗組員の制服などの洗濯に従事していた経験がきっかけとなり、終戦後、クリーニング店を創業するに至りました。

昭和4年に香川県高松市西浜町(現扇町・瀬戸内町)に「個人商店白洋舎」を創業し、当時は和装中心だったため、着物の洗い張りサービスを中心とした着物のクリーニングサービスを展開していました。

昭和16年に第二次世界大戦が勃発し、クリーニング業はやむなく休業。

戦時中は、詫間海軍航空隊基地(香川県三豊郡詫間町)へと出向き、住み込みで兵隊や工員、基地職員のユニフォームなどのクリーニングを担当し戦禍をしのぎました。

昭和20年の終戦後、混乱期にクリーニング業を再開するも、業績は低迷状態が続きます。
その後、高度経済成長期に突入し、洋風ライフスタイルへの転換期へ。

洋服のクリーニング需要が高まっていき、業績は回復に転じます。

昭和40年に次太郎の息子・鵜川秀彦が2代目社長に就任した後も、本社工場や事務所の新築、店舗拡大と順調に事業は発展し、安定軌道へと移行していきました。

平成時代

平成8年に秀彦の長男・鵜川俊英が代表取締役に就任。

バブル崩壊後、すでに地域のクリーニング店が飽和状態にあった当時、高付加価値のクリーニング店への方向転換を決めます。

大阪でアパレルメーカーの営業をしていた経験を生かして、ファッション性の高い衣類に対応できる高いクリーニング技術だけでなく、特殊加工や修理・リフォームなど、さまざまな最先端技術を導入し、サービス内容の拡充を進めました。

平成時代後期には、地域の抱えるさまざまな社会課題に対して、創業以来の理念である「御用聞き精神」で応えるべく、家庭や店舗・施設を巡回する宅配クリーニングサービスや、単身高齢者や障がい者などの自宅を訪問して掃除や雑務を代行する「おそうじくん」サービスを開始します。

令和時代

社会課題や環境に配慮した持続可能な発展のための取り組みを強化。

HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point)導入の法制化に伴い、食品衛生意識が高まり業務用クリーニングの市場は成長しています。
当社は飲食レストランや食品工場、また製造工場などのユニフォーム、ホテルで使用するシーツ・クロス品、さらには高齢者向け私物クリーニングまで幅広く対応できる体制を構築しています。

国連にて採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」に対して企業が取り組む気運の世界的な高まりを受け、経営の広域化によるさらなる社会課題の解決を推し進める方針を打ち出します。

ハンガーや包装用カバーなどのプラスチックゴミの削減のため、再生プラスチックや再利用可能な代替素材への変更や、使用後の回収から再利用までの仕組みの構築を進めました。

また衣料品の洗浄に使用された後の水についても、自社の排水施設建設を進め、汚水排出ゼロの完全循環型のクリーニング店を目指しています。

今後の展望

御用聞き事業強化により、地域の暮らしをより豊かに

クリーニング店まで通うことが困難な高齢者や障がい者、子育てや介護で外出が難しい方のために始めた宅配クリーニング事業は、孤立化が進む地域をつなぎ、見守るという大きな使命を持った事業へと成長しました。
クリーニング製品の集配・宅配を含む、暮らしの中のさまざまな困りごとを解決・サポートする「おそうじくん」事業も、対応が追いつかないほど多くのお客さまからご依頼をいただくサービスとなっています。
今後は、これらの御用聞き事業を主軸とし、衣料品をお預かりすることで生まれたご縁をつむぎ、発展させ、地域の皆さまがより豊かな暮らしを送れるよう、いっそうのサービス拡充を進めます。